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検討委員会、中間答申を提出
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理念
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2.有床診療所の施設体系としての理念

 

前述のような機能を有し、地域医療を支えている有床診療所についての現行の医療法上

の定義は、「19床以下の患者を入院させるための施設を有するもの」というものであり、

「有床診療所」という用語は明示されていない。一方、病院は、「20人以上の患者を入

院させるための施設を有するもの」であり、「傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受け

ることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ運営されるものでな

ければならない」と定義されている。

医療法が制定された昭和23年当時と比べて、現代の医学・医療、および医療提供体制

等は大きく変化している。有床診療所が、今後とも地域においてその機能を十分に発揮し、

永続的に役割を果たしてゆくためには、改めてその理念を医療法に明確に示すべき時期に

きていると考えられる。

本委員会として考える有床診療所の理念的なあり方は、基本的には以下の3項である。

(1)かかりつけ医が自ら外来・在宅と一連で入院医療を実践する医療施設

有床診療所は、患者の身近にあって、外来診療や在宅医療を通じてその患者の生活や

健康状態をよく知っているかかりつけ医が、必要に応じて自らの施設に入院患者として

受けいれることができる、まさにプライマリケアの理念を実践できる施設である。とり

わけ、今後さらに少子高齢化が進行し、独居高齢者世帯の増加等が見込まれる中で、か

かりつけ医として自ら入院医療に対応できることは、今後の医療において極めて有効で

あるといえる。

(2)地域に密着して地域医療・地域ケアを支える患者主体の入院施設

有床診療所は、患者・家族にとっては自らの居宅に最も身近で、必要な場合には容

易に医療の提供を受けることができる入院施設である。患者・家族にとって、その距

離的なアクセスのみならず、心理的・経済的なアクセスの良さは何物にも代え難いも

のがある。患者と同じ地域に生活する医師が、患者の身体的既往にとどまらず、家族

的、個人的な背景も踏まえて、その場で利用可能な社会資源を十分に把握して地域に

密着した医療を実践している入院施設であるといえる。医師不足等により病院の集約

化が進み、在宅医療の重要性が高まる中、有床診療所は、地域医療において、病院と

ともに外来・入院・在宅、そして終末期から看取りまで、一連の医療を実践する重要

な役割を担っている。

(3)専門医療を提供するための小規模入院施設

有床診療所は、医師の技量と経験に応じて、小手術から比較的高度な手術を含む多

様な専門的医療を提供している。また、産科有床診療所はわが国の全分娩数の約47%

を担っており、産科医療において必須の役割を担ってきた。小規模ながらも、地域の

実情に応じて臨機に専門医療を提供してきた有床診療所は、地域における病院医療が

破綻の危機にある状況においては、従来にも増してその役割が期待されている。有床

診療所は、地域の医療提供体制を支え、病院への集中や勤務医の過重労働の軽減にも

寄与しているといえる。

以上の理念を十分に踏まえて、有床診療所を改めて医療施設体系として医療法上に明確

に位置付ける必要がある。次期医療法改正においてそれを実現させるためには、国民をは

じめ関係者の理解を十分に得る努力を、引き続いて行う必要がある。

 



最終更新 (2011年 7月 22日(金曜日) 15:50)